自然栽培において、自家採種は作物をその土地に適応させるための重要な技術です。しかし、一般的には自家採種が困難とされる条件や品種も少なくありません。
今回は、自然栽培を20年実践している今橋さんが明かした、寒冷地での自家採種の実例や悪条件への対処法を整理してお伝えします。
ハイブリッド種の定説を覆したトウモロコシの自家採種
北海道で開催された研修会にて、交配種(ハイブリッド種)を研究する大学教授が参加しました。その教授は、トウモロコシのハイブリッド種について専門的な研究を行っています。
通常、ハイブリッド種から自家採種を重ねても野菜はうまく育たなくなるとされています。教授の研究も、自家採種では野菜が安定してできないという前提に立つものでした。
ところが、今橋さんの農場では自家採種を続けたトウモロコシが見事に結実しています。今までの研究結果が覆る実例を前に、その教授は大変驚いていたといいます。
固定種だけでなく交配種であっても、環境への適応が進む可能性を示す事例となりました。
9年の歳月をかけて環境に適応した実例
イギリスの夏は非常に短く、最高気温も通常27度程度までしか上がりません。トウモロコシは本来温暖な気候を好むため、イギリスの寒さは栽培に適さない環境です。
今橋さんは市販の種を購入し、栽培を開始しました。初年度は立派なトウモロコシが収穫できたものの、そこから採種した2年目の作物は実がそろわず歯抜け状態になります。
店頭の種は毎年よくできるのに対し、自家採種したものは歯抜けが続きました。それでも歯抜けの実から採種を続けた結果、9年目にしっかりと実が詰まったトウモロコシが完成したのです!
その後、9年目から12年目まで連続して見事な実を収穫できました。2023年に記録的な寒波が襲い、7月の気温が18度まで下がった過酷な年でも無事に収穫できています。
自家採種を重ねることで、種は外見だけでなく内面から生命力を高めていきます。その土地の厳しい気候を記憶し、環境へ適応していくのが自家採種の大きな強みです。
屋外で種が採れない場合の段階的なアプローチ
研修会では、屋外で自家採種を試みても種が採れないという相談が寄せられました。今橋さん自身も、イギリスの寒冷な気候下でレタスやタマネギの採種に苦戦した過去を持ちます。
寒さのためにレタスは種を付ける前に枯れ、タマネギもネギ坊主の段階で種になりませんでした。そこで今橋さんは、まずハウス内で栽培して採種する方法へ切り替えます。
ハウス内での自家採種を5年以上続けた後、その種を屋外で栽培してみました。すると、以前は外で採種できなかった作物が、屋外でも立派な種を付けるようになったのです。
過酷な環境でいきなり種が採れない場合は、保護された環境で種をつなぎ、徐々に外の気候へ慣らしていく段階的な工夫が有効といえます。
悪天候で土が準備できないときの対処と工夫
寒冷地や雨の多い地域では、作付け時期になっても土を耕せない問題が起こります。北海道では5月まで土を耕せない地域があり、イギリスでも長雨で土が乾かない事態が頻発します。
こうした悪条件に対し、今橋さんは2つの工夫を提示しました。
- 保温資材の活用
春先の地温が上がらずスタートが遅れる場合、厚手のゴムシート(ポンドライナー)などを畑に敷きます。地面をあらかじめ温めておくことで、周囲より早く耕起や植え付けが可能になります。
- やむを得ない状況での強行と作物への信頼
水分を多く含んだ土を耕すと土壌構造を傷めるため、本来は避けるべき行為です。しかし定植時期の限界が迫った際、今橋さんは土に謝意を伝えつつ、硬い湿土をスコップで強引に掘ってソラマメやタマネギを定植しました。
タマネギの種まきは適期より2ヶ月遅れましたが、最終的には小ぶりながら無事に収穫へ至りました。自家採種を重ねて強くなった種と、自然農法の土壌が持つ底力が作物を支えています。
自然の調和を受け入れる心構え
天候不順に対して人間は作業の遅れを心配しがちですが、今橋さんは自然の営みへの向き合い方を次のように語ります。
自然界に起きる現象は完璧であり、大雨や異常な暑さも地球全体の調和を保つために必要な働きです。人間の都合で一喜一憂するのではなく、すべての気象条件を受け入れて感謝する姿勢が重要になります。
たとえ栽培が困難な気候であっても、諦めずに工夫を重ねてみてください。自然の摂理に寄り添いながら種をつなぎ続けることで、作物は環境に適応する力を発揮していきます。
出典・元動画:
自然栽培20年の今橋さんのYouTubeチャンネルより
※本記事はAIによる要約と文字起こしデータに基づき、内容を整理したものです。
※今橋さんの素晴らしい取り組みを応援したく、学びを共有させていただきます。












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