自然栽培を実践する現場では、土との向き合い方や環境の整え方に多くの試行錯誤が存在します。YouTube動画『【自然栽培405】ちょこっと自給農かーびーさんとガチトーク炸裂!』では、自然栽培歴20年の今橋さんと、自給農を10年以上実践するかーびーさんによる対談が行われました。現場のリアルな経験に基づく土づくりや販売の考え方、具体的な畑の改善策について要点を整理してお伝えします。
土は人間が作るものではない|土に対する意識の持ち方
土づくりに関して、かーびーさんは「土を悪くしないこと」を最も意識していると語ります。初心者のうちは肥料や堆肥を入れて土を良くしようとしがちです。しかし、土を作る主体は地球や自然、微生物であり、人間ではありません。人間ができるのは、植物の根が心地よく伸びる環境を手助けすることだけだと指摘します。
具体的に土を悪くしないためには「水はけ」と「過度な圧力」を避けることが重要です。土を踏み固めてしまうと、作物の根が伸びなくなります。土を柔らかく保つために堆肥を使う場合でも、未熟なものは根の成長を妨げるため避ける必要があります。
一方、今橋さんは精神的な姿勢として「土との信頼関係を築くこと」を挙げました。土に信頼される自分になるよう心がけて作業に向き合うことが基本姿勢です。かーびーさんも、長年の経験から「野菜ができて当たり前」という安心感が生まれ、それが結果として土や作物を信頼することにつながっていると応えています。また今橋さんは、肥料や農薬を入れない畑の土はそれだけで喜んでいる状態にあると述べました。
自然栽培で気をつけるべき日常の姿勢と動作
作業の中で気をつける点について、今橋さんは「不平不満を言わず、できるだけ感謝すること」を強調します。
かーびーさんは、この考えを受けて「人にも自然にも優しく接すること」の大切さを語りました。その上で、現場の作業では以下の点を身体に染み込ませていると説明します。
- 雨などで土が濡れているときは触らない
- 作物を植える畝(うね)の上を踏まない
- 作物に触れる際は表面の組織を傷つけないように扱う
- 農具を無理な力で使わず、道具も自分の身体も傷めない
無理な作業を続けると、土や野菜だけでなく自分自身の身体も壊してしまいます。日々の管理においては、何事も傷めず丁寧に接する意識が欠かせません。
作物の販売における注意点と価格設定の責任
収穫した作物の販売方法についても議論が交わされました。今橋さんは過去にイギリスで栽培していた際、現地のオーガニックショップなどへ野菜を卸していました。イギリスでは有機栽培の公的な基準に従って販売する必要があり、求められる品質を提供することで販路を広げていった経験を持ちます。
かーびーさんは、農産物を販売する際の鉄則として「絶対に安売りをしないこと」を掲げます。かつて規格外の野菜を安価で投げ売りした際、ある経営者から「誰も幸せにならないからやめなさい」と厳しく叱られた経験が基になっています。
安売りをしてしまうと、自分の労働力を安く買い叩くことになり、購入者もその低価格に慣れてしまいます。余った野菜をどう扱うかについては、次の2つの選択肢しかないと語ります。
- 適正な価格を設定して責任を持って販売する
- お金を取らずに人に譲るか、土へ還す
価格を高く設定することには責任が伴い、精神的なプレッシャーも生じます。しかし、その責任から逃げずに商売として向き合えるかどうかが、仕事と趣味の分かれ目になると指摘しました。
病害虫を寄せつけない健全な環境づくり
自然栽培における虫対策について、両者は特別な薬剤や防虫ネットに頼らない手法を共通して挙げています。
かーびーさんは、虫対策として最も重要なのは「種まきの時期(播き時)」であると説明します。本来の旬から外れずに育った野菜は、虫に負けない強さを備えています。そのため、防虫ネットを張らず、手による捕殺を行わなくても、白菜がしっかり結球しアブラムシもつかない状態を実現できます。人間側の都合で無理な時期に栽培するのではなく、地域の気候に合わせて播き時を微調整することが肝心です。
今橋さんも同様に、問題解決の根本は次の3点に集約されると語りました。
- 健全な土
- 健全な種
- 生産者の健全な心
魚や動物と同じく、栄養不足で弱っている個体ほど病気にかかりやすくなります。痩せて弱々しい野菜を自然栽培だからと肯定するのではなく、土を整えて適期に播き、雑草に光を遮られないよう管理して健康に育てることが最大の防虫策となります。
硬い土盤や斜面への対処法
参加者からの「下層が粘土の硬い盤になっており、土がサラサラで作物が育たない」という相談に対し、具体的な改善策が示されました。
作土層を確保する工夫
今橋さんは、硬い盤があって下へ掘り進められない場合、無理に深く掘る必要はないと説明します。作物が育つためには、最低でも20cm程度の作土層があれば十分です。表土の黒土層が薄い場合は、無理に下層の土と混ぜてはいけません。下層の黄色い土を混ぜると土の質が落ちるため、周辺の表土を集めて盛り土にし、20cm以上の厚みを持たせた畝を作ります。
もし草も生えないほど土が弱っている場合は、初期にクローバーなどのマメ科植物を播き、土壌環境を整える方法が有効です。草をすき込む際は、生の青草を大量に混ぜ込むと土を傷める原因になります。地表から5cmほど上で刈り取り、しっかり枯らしてから土にすき込むか、地表を覆う草マルチとして利用します。
木枠を活用した「箱庭(レイズドベッド)」方式
かーびーさんは、下へ掘れない場所の解決策として木枠を使った栽培を提案しました。厚さ2〜3cm、幅20cmほどの板で枠を作り、その中に土を入れて栽培スペースを高く立ち上げる手法です。
この方法には次の利点があります。
- 下層を掘削する過重な労働を避けられる
- 既存の地面より高くなるため水はけが向上する
- 枠で囲われているため大雨による土の流出を防げる
- 必要な土や堆肥の量を最小限に抑えられる
- 周囲からの雑草の侵入を抑制できる
畝の向きと水抜けの優先順位
畑の向きについて、一般的には日当たりの良い南北方向が推奨されます。しかし、かーびーさんは日当たりよりも「水はけ(水抜け)」と「風通し(風抜け)」を最優先すべきだと強調します。
特に斜面地では、傾斜に沿って縦に畝を立てると、雨水が表面を激しく走り、貴重な土や養分を一気に洗い流してしまいます。日本の畑で土が劣化する最大の要因は、雨による養分の流出です。斜面では等高線に沿わせるように横方向へ畝を配置し、雨水の流速を抑えて土を守る設計が求められます。
水はけ不良を克服する溝掘りと無肥料栽培の強み
地下水位が高い畑の水対策として、今橋さんは「畑の周囲をぐるりと溝で囲む額縁排水」を推奨しています。周囲に溝を掘ることで畑の内部に水が溜まりにくくなり、畝間の段差を過剰に深くする必要がなくなります。それでも水が抜けない場合は、外周の溝をさらに深く掘るか、溝を二重に配置して排水性を高めます。
今橋さんの圃場では、過去に山からの水が流入し、畑全体が1週間にわたり水没した事例がありました。一般的な栽培では根腐れして全滅する状況でしたが、サツマイモやシシトウ、ナスは枯れることなく無事に生き残りました。最終的には、オーガー(縦穴掘り機)を使って不透水層を貫通させ、下層の透水層へ水を逃がすことで排水を完了させています。
かーびーさんはこの事例について、無肥料栽培ならではの強みが現れた結果だと解説します。土の中に肥料や未熟な有機物が多量に含まれていると、水没した際に嫌気性発酵(腐敗)が起き、作物の根を一気に腐らせてしまいます。肥料や堆肥を過剰に入れていない土であったからこそ、長期間の水没でも致命的な腐敗に至らず、作物が耐え抜くことができたのです!
自然栽培において大切なのは、自然を無理に変えようとすることではありません。土を壊さない扱いを徹底し、水と風の通り道を整え、作物が自ら健全に育つ舞台を整えることが基本となります。
出典・元動画:
自然栽培20年の今橋さんのYouTubeチャンネルより
※本記事はAIによる要約と文字起こしデータに基づき、内容を整理したものです。
※今橋さんの素晴らしい取り組みを応援したく、学びを共有させていただきます。







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