自然農法を学んでいると、「土作り」や「無肥料・無農薬の手法」といった技術的な側面にまず意識が向きがちです。しかし、自然栽培の現場で長年土と向き合ってきた先達の言葉を聞くと、技術の根底にある「自然の摂理」と「人間の関わり方」の重要性に改めて気付かされます。
今回は、イギリスで自然栽培を実践されている今橋さんの動画から、土と作物が本来の力を発揮するために必要な要素と、虫や病気が発生したときに人間が果たすべき本当の役割について学びを深めていきます。
野菜が育つ絶対条件「太陽・月・土」そして「人間」
作物が健康に育つためには、何が必要でしょうか。
自然栽培の基本として、土と種があることは大前提ですが、大自然の働きとして欠かせないのが「太陽」と「月」の力です。
- 太陽(火・光のエネルギー):光合成を促し、作物を温め育てる力
- 月(水・雨のエネルギー):大気や大地に水を行き渡らせ、潤す力
- 土(大地の力):作物を支え、命を育む器
この「日(火)」と「水」のバランスが調和しているとき、土は本来の力を発揮し、作物は病気にもならず虫も寄り付かないほど健やかに育ちます。虫や病気は、この大自然のバランスが崩れたときに、過剰なものを調整するためにやってくる自然界のお掃除役でもあります。
そして、ここに加わるもう一つの極めて重要な要素が「人間」です。
自然界は放置していても草木が育ちますが、人間が作物をいただく「農業」においては、種を蒔き、環境を整える人間の存在を切り離すことはできません。さらに言えば、人間がどのような「心」で作物や土と向き合うかが、栽培の結果を大きく左右します。
2012年イギリスでの試練:トマト200本を襲ったアブラムシ大発生
今橋さんが体験された2012年のエピソードは、自然のバランスと人間の意識の関わりを象徴しています。
その年、イギリスは「100年に一度」と言われる歴史的な寒波と長雨に見舞われました。5月下旬から6月中旬までの約1か月間で、雨が降らなかった日はわずか5日しかなかったといいます。まさに「日」と「水」のバランスが極端に崩れ、太陽の光が圧倒的に不足した状態でした。
近隣の家庭菜園や農家では、トマトの多くが疫病(レイトブライト)にかかって全滅。今橋さんの畑のトマトは病気こそ免れたものの、別の試練が訪れました。
ビニールハウス(ポリトンネル)で育てていた200本ものトマトに、アブラムシ(アフィッド)が猛烈な勢いで大発生したのです。茎1本あたりに200〜500匹ものアブラムシがびっしりと群がる異常事態でした。
周囲のプロの有機農家に相談したところ、「最低でも5回はオーガニック専用の防除スプレーを散布しなければ、間違いなく全滅する」と告げられたそうです。
スプレーを使わずに起きた奇跡:感謝が引き出す土の力
自然栽培では、有機JAS規格で認められているような天然由来のスプレーであっても、農薬や資材の類は一切使いません。
絶体絶命の状況の中で、今橋さんが行ったことは「スプレーで虫を駆除すること」ではありませんでした。かつて怒りの感情で苗を枯らしてしまい、感謝の気持ちで向き直したことで稲が蘇った過去の経験を思い出し、畑の土とトマトに直接語りかけたのです。
畑の土のリーダー格である土に向かい、心からの感謝を伝えました。
「いつも本当にありがとうございます。どうかトマトを助けてください」
そして、アブラムシに覆われたトマトたちにも謝意を伝えました。
「いつもありがとうございます。なんとか持ちこたえて、育ってくれませんか」
人間の頭で考えれば非科学的に思えるかもしれませんが、土や作物、そしてそこに無数に生きる微生物に対して、敬意と感謝の念を向けたのです。
すると、その呼びかけから約2週間後の7月12日、信じられない現象が起きました。
あれほどびっしりとトマトを覆い尽くしていたアブラムシが、徐々に減るのではなく、ある日突然、一匹残らず姿を消したのです。
手伝いに来ていた現地のボランティアスタッフも「一体何をしたの? 薬を撒いたの?」と驚嘆するほどの劇的な変化でした。土と作物が本来持っている生命力が目覚め、自然の調和を取り戻した瞬間でした。
自然農法を学ぶ私たちが大切にしたい「心のあり方」
このお話から、自然農法を志す私たちが受け取るべき大切な教訓がふたつあります。
1. 虫や病気は「敵」ではなく「自然のバロメーター」
虫が出たからといって、慌ててそれを排除しようとするのは対症療法に過ぎません。日照不足や土の環境など、何らかのバランスが崩れているサインとして受け止め、まずは自然の巡りを見つめ直す姿勢が求められます。
2. 人間の「心」も生態系の一部である
私たちは作業者として畑の外に立っているのではなく、太陽や月、土や作物と同じ輪の中にいます。焦り、不安、怒りといった感情を作物にぶつけるのではなく、土や命に対する信頼と感謝を持つこと。その心の波動が微生物を活性化させ、作物の潜在能力を引き出す力強い後押しになります。
自然農法の実践は、単に「肥料や農薬を使わない手法」をなぞることではありません。大自然の大きな循環を信じ、土と作物が本領を発揮できるよう、人間が謙虚にその手助けをすること──その根本の心を磨きながら、日々の畑仕事に向き合っていきたいものです。
出典・元動画:
自然栽培20年の今橋さんのYouTubeチャンネルより
※本記事はAIによる要約と文字起こしデータに基づき、独自の視点で整理したものです。
※今橋さんの素晴らしい取り組みを応援したく、学びを共有させていただきます。











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