自然農法や自然栽培を学び始めると、固定観念に縛られがちです。「不耕起が基本」「人工資材は一切使わない」といった考えがその例といえます。
しかし実際の現場では、教科書通りの理論だけで解決できない様々な問題に直面します。
今回は、自然栽培を20年実践されている今橋さんの動画から学びます。「耕起と土の豊かさの関係」「黒マルチの捉え方」「自家採種の力」について、実践者目線の知見を整理しました。
1. 耕しても土が良くなる理由は「草マルチ」のおかげなのか?
自然農では、耕すと土中の生態系が崩れて地力が落ちると言われます。では、なぜ耕しても土が豊かになるのでしょうか。草マルチのおかげなのかという疑問に、今橋さんが答えています。
草マルチの有無と土の豊かさは直結しない
結論として、草マルチをしているから耕しても土が良くなるわけではないと今橋さんは言います。
今橋さんの農園には、ジャガイモを13年間連作している区画があります。そこでは草マルチをほぼ施していません(99%マルチなし)。
毎年耕起して連作を続けていますが、土中の微生物量は「ベリーハイレベル(非常に高い水準)」を維持しています。土の状態も年々良くなっているとのことです。草マルチをしていない他の区画でも、同様に土の健康状態は向上しています。
草マルチ自体には保水性を保ち、土を乾燥から守る優れた効果があります。しかし、耕しても土が豊かになる根本的な理由は別のところにあります。
本当に土を弱らせる原因とは
今橋さんによると、土の力を奪う本質的な原因は耕起そのものではありません。主に以下の2点にあります。
- 肥料や農薬、不自然な人工物を土中に入れること
- 過剰な耕起(土の団粒構造を粉々に壊してしまうほどの耕しすぎ)
肥料や農薬を使わない自然栽培であれば、適度に耕しても土の生態系は豊かに育ちます。「耕すか耕さないか」という二者択一にとらわれる必要はありません。「土に不自然なストレスを与えていないか」を見極める姿勢が大切です。
2. 黒ビニールマルチは使ってもいいのか?
自然栽培や自然農では、プラスチック資材である黒ビニールマルチの使用が敬遠されがちです。これについて今橋さんは、柔軟で実践的な視点を提示しています。
初心者や移行期の「補助輪」としての活用
自然栽培の初期段階では、まだ土の力が十分に育っていません。畑に敷くための草すら生えてこない場合があります。その結果、草管理や乾燥に追われ、野菜が育たずに挫折してしまうケースも珍しくありません。
そのため、土が育つまでの初期段階では、一時的に黒マルチを頼ることも有効な選択肢だと今橋さんは語ります。
畑一面を覆い尽くすのは本来の姿から離れます。しかし、一部の畝で使いながら収穫を得て、少しずつ土を育てる方法は現実的です。
ハウス内の極度な乾燥から土を守る手段
また、ハウス内は直射日光と高温によって土が激しく乾燥します。乾燥によって微生物が死滅し、土が弱ってしまう恐れがあります。草マルチが足りない場合、土を乾燥から保護する目的で黒マルチを活用するのも一つの知恵です。
敷き草が不足するなら、畑の一部で麦などの緑肥を育てる方法もあります。刈り取った草をマルチとして循環させつつ、状況に応じて柔軟に対応することが推奨されます。
3. 小さな野菜から種取りしても大丈夫?自家採種の持つ適応力
自家採種に関して、「小さな野菜や二股のニンジンから種を取ると、次世代も同じように小さくなるのか」という疑問があります。
小さな種からでも立派な野菜は育つ
今橋さんの経験上、小さな野菜から採種しても、翌年に必ず小さくなるわけではありません。
実際の例として、極小の種ニンニク約300個を地力の高い連作畑に植えた話が挙げられました。その結果、大半が通常の立派なサイズに育ったそうです。野菜の育ちは種の大きさだけでなく、土の力や環境が大きく左右します。
ただし、採種の基本原則は「その畑で一番立派に育った個体を選ぶこと」です。良い形質を残す意識は持ちつつ、どうしてもその野菜から種をつなぎたい場合は、以下の工夫を試してみてください。
- 保険をかける:自家採種した種と、念のため用意した別の種を半分ずつ栽培する。
- 立派に育ったものから選抜する:小さな種から立派に育った株を選び、そこから改めて採種して世代をつなぐ。
自家採種がもたらす本質的なメリット
無肥料・無農薬で自家採種を繰り返すことには、大きな価値があります。
- 種の純化:肥料や農薬のない環境で育つことで、種の生命力そのものが研ぎ澄まされていく。
- 土地の記憶と環境適応:その土地の気候や土質、水分量を種が記憶し、厳しい環境でも自力で根を伸ばす強さを獲得する。
今橋さんの農園では、2ヶ月間雨が降らない猛暑でも、ほぼ無灌水で野菜がたくましく育っています。これは種がその土地に適応している証拠です!
4. 現場のトラブルへの柔軟な向き合い方
動画内では、病気や高温障害への実践的なアドバイスも語られました。
- 前作で病気が出た畑での連作:土の微生物環境が未熟な段階で病気が出たときは、無理な連作を避けます。一度別の作物を植えて、土の正常化を待つのが無難な対応です。ただし、強い探究心があるなら、あえて挑戦してみることも学びになると今橋さんは言います。
- ハウス内の高温障害(花落ち・花飛び):ハウス内が50〜60度に達してトマトの花が落ちる場合は、物理的な対策が有効です。西日が強く当たる部分に遮光ネットを張るなどして、光と熱を和らげます。自然栽培だからと放置するのではなく、作物が耐えられる環境を整える手助けが求められます。
まとめ:手法に縛られず、土と作物の命に向き合う
自然農法や自然栽培で大切なのは、形式的なルールの遵守ではありません。「耕すかどうか」「マルチを使うかどうか」にとらわれすぎないことが肝心です。
- 土を汚さないこと(肥料や農薬など不自然なものを持ち込まない)
- 土を痛めないこと(過剰な耕起を避ける)
- 自家採種を通じて、作物をその土地に適応させていくこと
根本にあるこれらの原則を守っていれば、管理手法は柔軟に選んで構いません。畑の状況や自身の熟練度に合わせて判断していきます。目の前の土や作物を観察しながら、できることから一歩ずつ実践してみてください。
出典・元動画:
自然栽培20年の今橋さんのYouTubeチャンネルより
※本記事はAIによる要約と文字起こしデータに基づき、内容を整理したものです。
※今橋さんの素晴らしい取り組みを応援したく、学びを共有させていただきます。










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