食や農のあり方は、人々の命や国の未来に直結しています。
近年は世界情勢の悪化や気候変動、物価高騰が続いています。これらに伴い、日本の食料安全保障をめぐる議論が活発化してきました。
国会でも「食料供給困難事態対策法」という有事法制の審議が進んでいます。しかし法案の実態を読み解くと、深刻な課題が見えてきます。現場の農家や日本の農業にとって、見過ごせない問題が潜んでいるのです。
自然栽培20年の今橋さんのYouTubeチャンネルに、農政ウォッチャーの高橋さんが出演されました。動画内では、法案の構造的な問題や農家が置かれた危機的状況が率直に語られています。
今回は動画の内容をもとに、農政の現実と自然農法が目指すべき方向性を整理してお伝えします。
「食料供給困難事態対策法」の表と裏──なぜ“輸入促進法案”と呼ばれるのか
食料供給困難事態対策法は、有事に備えるための法律とされています。戦争や異常気象で食料供給が途絶した事態を想定したものです。
一見すると、食料危機から国民を守る法案に見えるかもしれません。しかし高橋さんは、実態を「事実上の輸入促進法案ではないか」と指摘します。
高橋さんが語る法案の主な問題点は、以下の2点です。
1. 生産現場の実態を無視した「増産要請」と罰則
有事の兆候が見られると、国は米や麦、大豆などの農家に増産計画の提出を求めます。対象には生産設備を持つ事業者も含まれます。
仮に増産できなくても、現状維持の計画を出せばよいとされています。しかし計画を出さない場合、ペナルティが科される仕組みです。具体的には「20万円以下の過料」や「事業者名の公表」が盛り込まれています。
現在の農家は、厳しい経営の中で設備を維持しています。突然「増産しろ」と言われても、人手も設備の余裕もありません。引退した人が過去の設備を維持し続けることも不可能です。
現場への支援や補償は不十分なまま、書類提出と罰則だけが課されます。これでは農家に一方的な負担を強いる形になってしまいます。
2. 国内増産ではなく「輸入ルート拡大」への誘導
本当に国内の生産基盤を守る法律なら、平時から手厚い支援を行うはずです。国産の自給率を引き上げる方向へ舵を切るのが自然といえます。
ところが法案には、有事の際に「輸入先を確保・促進する」道筋が含まれています。高値であっても海外からの輸入枠を広げ、急場をしのぐ発想です。
一度開拓された輸入ルートは、有事が収まった後も簡単には閉じられません。結果として安価な外国産農産物がさらに流入します。その影響で、国産の麦や大豆、米の生産現場が圧迫されるリスクがあります。
有事に備える名目の裏で、海外依存が強まりかねません。国内農業の首を絞める構造が隠されていると高橋さんは警鐘を鳴らします。
兼業農家が直面する壁と「みどりの食料システム戦略」の落とし穴
現在、日本の農業従事者は100万人を割り込みました。従事者の平均年齢も68歳を超えています。
数年後には、70代を迎える世代の大量離農が懸念されている状況です。小規模農家や兼業農家の存続は、極めて危機的な段階にあります。
日本の農村や農地を守ってきた中心は兼業農家です。平日は会社に勤め、週末に農作業を行ってきました。多くは赤字であっても、土地を荒らさないために田畑を懸命に維持しています。
国は「みどりの食料システム戦略」を掲げ、有機農業の面積拡大を進めています。しかし高橋さんは、ここにも大きな落とし穴があると語ります。
- 時間と労力の壁:限られた休日で管理できたのは、化学肥料や農薬の力があったためです。支援や価格保障がないまま有機栽培への転換を迫られれば、対応しきれず離農が増えてしまいます。
- 農地集約と買収のリスク:小規模な農家が撤退し、農地が集約されると別の問題が生じます。将来的に国内外の大企業や資本へ農地が買い取られやすくなるリスクです。
農家が営農を続けられる適正価格や所得補償が欠かせません。規制や目標値だけを先行させれば、現場を支えてきた足腰を弱らせてしまいます。
福岡正信氏の警鐘と「食料主権」の重要性
自然農法の先駆者である福岡正信氏は、著書『わら一本の革命』で知られています。福岡氏はかつて、海外の有識者との対話で重要な警鐘を鳴らしていました。
「日本を弱体化させる最後の段階は、食料を抑えることだ」という指摘です。
エネルギーや防衛と同じく、食料の自給は国の根幹に関わります。自分たちの食べるものを自らの手で生み出せる「食料主権」こそ、自立の土台です。
労働力不足を補う外国人技能実習制度でも、過酷な労働環境などが表面化しています。他国の力に頼りすぎる構造は、国際情勢の変化に極めて脆弱です。
自国の食料基盤が痩せ細れば、食の決定権を海外や多国籍企業に握られてしまいます。この危うさを、社会全体で真剣に受け止める必要があります。
私たちにできること──自然農法・自然栽培が示す自給と共生の道
農政の大きな流れを前にすると、個人の力は小さく思えるかもしれません。
しかし高橋さんと今橋さんは対談の中で、力強い希望を語られていました。自然農法や自然栽培を志す人を草の根で増やすことこそが、確かな力になります!
動画から見えてくる具体的な実践ポイントは、以下の3つです。
- 足元から自給の力を育てる:家庭菜園や市民農園などの小さな場所から始められます。農薬や化学肥料に頼らず、タネを採り、土の力を生かして作物を育てる技術を身につけてみてください。これが食料主権を取り戻す第一歩になります。
- 小規模農家・兼業農家の価値を見つめ直す:多様な小規模農家が地域に点在している構造は、危機に対する強さとなります。直売所や自然栽培の農家から直接野菜を買い、支え合う関係を築く行動が大切です。
- 現状を知り、声を上げていく:農業に関する政策は、日々の食卓や暮らしに直結しています。農政の動きに関心を持ち、正しい情報を周囲と共有してみてください。市民が事実を知ることが、無謀な法改正を防ぐ力へとつながります。
自然の摂理に寄り添う自然農法の学びは、単なる栽培技術にとどまりません。どのように社会と関わって生きるかという、根本的な姿勢を提示してくれます。
確かな実践を積み重ねながら、大地に根ざした食と農の輪を広げていきたいものです。
出典・元動画:
自然栽培20年の今橋さんのYouTubeチャンネルより
※本記事はAIによる要約と文字起こしデータに基づき、内容を整理したものです。
※今橋さんの素晴らしい取り組みを応援したく、学びを共有させていただきます。










コメント