新しく畑を借りたときの初期状態にどう向き合うか。これは自然農法を志すなかで、多くの実践者が直面する課題です。
長年手入れがされていなかったり、イノシシに掘り返されていたりする土地もあります。水はけに偏りがあり、一見して栽培が難しそうに思える条件も珍しくありません。
本記事では、自然栽培歴20年の今橋さんが高知で借りた「荒れた段々畑」の事例を取り上げます。開墾初期の具体的なアプローチから、実践に役立つ圃場観察の視点と知恵を整理してお伝えします。
1. 段ごとに異なる「草と水分」を読む——圃場観察のポイント
自然農法では、土を画一的に変えようとはしません。まず「いまその土地がどういう状態にあるのか」を観察することから始まります。今橋さんが案内する段々畑でも、段ごとに環境が大きく異なっていました。
生えている草(野草)からのサイン
- スギナやツクシ:酸性に傾いた土や、固く締まった場所に見られます。土壌が自らを回復させようとする過程でもよく生える草です。
- バターカップ(キンポウゲ類):雨が多く、湿り気のある環境を好んで繁茂します。
- マメ科植物やオオイヌノフグリ:土壌が豊かになりつつあるサインであり、春の訪れを告げる指標にもなります。
- 草が生えていない場所:過去に野焼きをした跡や、極端に踏み固められた場所です。赤土が露出しているなど、土の活性が落ちているサインといえます。
水分の偏りと「土の呼吸」
段々畑の上段から下段へ進むにつれて、山からの湧き水や雨水が集まります。足元が「ジュボジュボ」と沈むほど水が溜まっている箇所もありました。
水が停滞して土が呼吸できない状態が続けば、根腐れの原因になります。そのままでは多くの作物は育ちません。そこで今橋さんは、次の対処法を挙げます。
- 溝を切って排水を促す(空気と水の通り道をつくる)
- 湿地を好む作物(サトイモなど)の適地として活用する
水が溜まりやすい場所を、無理に乾かす必要はありません。水みちを整えたり、環境に合った作物を配置したりする見立てが重要になります。
2. 開墾が間に合わないときの知恵——育苗ポットで「時間を稼ぐ」
新しい畑を借りた際、課題になりやすいのが「作付け適期」と「畑の準備」のズレです。特に作業時間が限られている場合、全面の畝を整えるには1〜2ヶ月以上かかります。
そこで有効になるのが、育苗ポット(セルトレイ)を活用した時間差アプローチです。
苗を育てている間に畑を開墾する
4月に入ると、トマトなど夏野菜の播種シーズンを迎えます。しかし、畑の開墾が終わるのを待っていては、適期を逃しかねません。
先にセルトレイやポットで種を蒔いておけば、苗が生長するまでの約1ヶ月間、畑の整備に集中できます。育苗期間を準備のための「猶予」として使う知恵です。
現地の土を活かした種まきテクニック
動画内では、現地の土を活かした育苗の工夫が紹介されています。
- イノシシが掘り返した土を活用::すでに草が剥ぎ取られ、土が露出している部分から土を採取してトレイに詰めます。
- 水やりと重みで均一な播種穴をつくる::土が硬い場合、指先だけでは均一な深さの穴が開きません。一度トレイに水をかけて湿らせた後、空のトレイを重ねて足で適度に踏み込みます。この工夫により、均一な深さの播種穴が一瞬で作れます!
- 1穴に2〜3粒播種::発芽率のばらつきを考慮し、複数粒を蒔きます。欠株が出た場合でも、重なって発芽した苗を後から補植に回すことが可能です。
「時期が少し遅れても、やるべき手当てを施したら、あとは自然の力に委ねる」。今橋さんはそう語り、大らかな姿勢の大切さを伝えています。
3. なぜ「栽培が難しい畑」を選ぶのか?
今橋さんがこの圃場を選んだ理由には、自然農法の実践に向けた視点が含まれています。
- 美しい景色と心地よい自然環境(鳥の声、きれいな水)
- 赤土や黒土が混在する土壌の多様性
- 獣害や傾斜など、一見すると「栽培が難しい」と思える課題の多さ
平坦で管理しやすい場所だけが良い畑とは限りません。水が湧き、生き物が集まり、高低差がある土地には、それだけ自然本来のダイナミックな力があります。
条件の厳しさを問題として排除するのではなく、「どう調和して作物を育てるか」という探求の対象として向き合う。そこに自然栽培の面白さがあると今橋さんは語ります。
4. まとめ:焦らず、まずは観察と小さく始める一歩から
荒れた土地を前にすると、「早く耕さなければ」と焦ってしまいがちです。しかし、まずは以下のステップで進めることが、無理のない畑づくりにつながります。
- 圃場を歩き、草の種類・土の硬さ・水の流れをじっくり観察する
- 1年目から全体を使おうとせず、できる範囲(1/4など)から段階的に開墾する
- 育苗ポットを駆使して時間を味方につけ、作付けの遅れをリカバーする
- 排水対策など、土が呼吸できる環境を最優先で整える
まずは土地の状態をよく見極め、小さな一歩から試してみてください。自然の巡りに寄り添うことで、開墾の道筋が少しずつ見えてきます。
出典・元動画:
自然栽培20年の今橋さんのYouTubeチャンネルより
※本記事はAIによる要約と文字起こしデータに基づき、内容を整理したものです。
※今橋さんの素晴らしい取り組みを応援したく、学びを共有させていただきます。











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