自然農法を23年間実践されている今橋さんが公開された講義動画「自然農法ラーニングプログラム パート1」の内容を整理してお伝えします。
今橋さんは日本で3年間、イギリスで約20年間にわたり自然農法に取り組んできました。イギリスの農場では40種類以上の作物を栽培し、自家採種率は90%に達しています。延べ9,000名以上が受講したプログラムの前編から、基本理念や栽培の要点を見ていきます。
自然農法ラーニングプログラムの構成
本プログラムは、パート1からパート3までの3部構成となっています。
パート1では、自然農法の基本理念や、無肥料・無農薬で作物が育つ科学的理由が語られます。土の健康状態の変化についても解説されます。パート2のテーマは、連作や堆肥の使い方、元気な土づくりや草の管理です。最後のパート3では、有機栽培との明確な違いや自家採種、水管理について詳しく学べる構成になっています。
基本理念「自然尊重・自然順応」と土の能力
自然農法の根本にあるのは「自然尊重・自然順応」という考え方です。本から知識を得るだけでなく、自然そのものから学ぶ姿勢を基本とします。
地球や太陽、雨や風など、この世に存在するすべてのものには固有の役割が存在します。土が持つ役割の1つは作物を育てることです。自然農法では、土は作物を育てるために最初から完璧な状態にあると考えます。
完全な存在である土には、何かを加える必要がありません。そのため、化学肥料や農薬だけでなく、動物性肥料や補いも一切使用しない手法をとります。
作物を収穫すると土の養分が減るため、外部から補う必要があるという説が一般的です。しかし自然農法では、土には自らを豊かにして活性化させる能力が備わっていると考えます。そのため土の栄養素の数値について、今橋さんは23年間一度も気にしたことがないと述べています。
土と植物と微生物が織りなす自然のサイクル
スプーン1杯(約1グラム)の土の中には、およそ60億もの微生物が存在するといわれています。現代の科学においても、微生物の働きの99%は未解明のままです。
科学的に判明している仕組みとして、植物と微生物の相互関係があります。植物は光合成を行うと、根から微生物を引き寄せるエネルギーを放出します。微生物はそのエネルギーを受け取る代わりに、植物が必要とする栄養素を供給するのです。
この自然な循環の中に肥料を投入すると、植物の栄養吸収の仕組みに変化が生じます。土から栄養を取るのではなく、肥料に依存して育つ体質へと変わっていきます。
慣行農法から自然農法へ転換した直後は、肥料が切れるため一時的に作物が弱ります。この期間は、植物が土から栄養を自力で吸収する機能を回復させている時間です。この移行期間を乗り越えると、植物は再び土本来の力で健全に育つようになります。
堆肥の役割は栄養補給ではない
自然農法における堆肥は、畑の周囲にある草や自然農法で育った野菜の残渣から作られます。
ここで重要なのは、堆肥を「土の栄養」として投入するのではない点です。堆肥が持つ本来の効果は以下の3点に集約されます。
- 土を乾燥から守る(保湿)
- 土を温める(保温)
- 土を固めないようにする(物理性の改善)
土が十分に湿り気を保ち、温かく、柔らかい状態であれば、堆肥を使う必要はありません。
トマトの病気克服事例と連作の力
栽培において、生産者の前向きで思いやりのある精神的な姿勢も重要視されます。その実例として、2014年に起きたトマトの病気に関する出来事が紹介されました。
ある年、栽培トンネルの天井に穴が空き、雨水がトマトに直接降り注ぎました。その結果、周辺の農家で全滅被害を出していた「ブライト病(疫病)」が発症します。
プロの農家からは、克服は不可能であり、畑の全トマトを抜いて燃やすよう助言を受けました。菌が残るため、同じ場所への植え付けも禁忌とされたのです。
今橋さんは風通しを改善し、罹病した枝を切り、土とトマトに励ましの言葉をかけました。一時は周囲のジャガイモへの感染を恐れて50本ほど引き抜いたものの、途中で思い直します。トマト自身の生命力を信じることに決めたのです。
真剣に向き合い続けた結果、新しく伸びてきた芽は病気にかからず、見事に実をつけました!長年有機農業を営む専門家からも、病気の克服例は見たことがないと驚かれました。
その後、同じ場所でトマトを10年間栽培し続けましたが、病気は一切再発していません。今橋さんの畑では連作14年、自家採種18年を経ても健全に育っています。
一般的にタブーとされる連作ですが、自然農法ではむしろ推奨されます。同じ場所で作物を育て続けることで、土がその作物の育て方を記憶し、適応していくためです。ただし連作は必須ではなく、輪作から始めても問題はありません。
自家採種が育む作物の適応性
栽培を成功に導くもう1つの鍵が自家採種です。
自然農法では、F1種や遺伝子組み換え種子ではなく、固定種や在来種を用います。種を自家採種し続けることで、種そのものが正常な状態へと戻っていきます。種は生きており、地域の栽培環境を記憶して適応するため、年を追うごとに強靭な作物が育つ仕組みです。
実際の圃場でも、様々な野菜で連作と自家採種が継続されています。
- ミニトマト:連作12年、自家採種14年
- 玉ねぎ:連作12年、自家採種10年
- トウモロコシ:連作14年、自家採種13年
- ニンニク:当初は小さかったものが、4年目から非常に大きく育つよう変化
土と種が年月をかけて互いに馴染んでいく様子が、これらの実績から読み取れます。
自然農法がもたらす利点
講義のまとめとして、自然農法を実践することで得られる具体的なメリットが提示されました。
- 肥料や農薬の購入費用がかからない
- 施肥や農薬散布にかける時間と労力を削減できる
- 作物自体が非常に強くなる
- 自家採種により種代が不要になる
- 作物の根が深く長く伸びる
- 高品質で日持ちの良い作物が収穫できる
- 土壌微生物の活動が平均以上に活発になる
- 環境への負荷が少なく、持続可能性が高い
まずは無肥料・無農薬を徹底し、自家採種や土への敬意を大切にすることから実践してみてはいかがでしょうか。土が本来の力を取り戻すにつれて、作物は力強く応えてくれます。
出典・元動画:
自然栽培20年の今橋さんのYouTubeチャンネルより
※本記事はAIによる要約と文字起こしデータに基づき、内容を整理したものです。
※今橋さんの素晴らしい取り組みを応援したく、学びを共有させていただきます。














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