自然農法や自然栽培を志すなかで、避けて通れない大きなテーマのひとつが「耕作放棄地の再生」です。特に、もともと水を溜める構造になっている「元水田」を野菜が育つ畑へと転換する作業には、多くの知恵と工夫が求められます。
今回は、自然栽培の実践者である今橋さんの開拓現場から、大雨に見舞われた元水田のリアルな状況と、野菜の生育に不可欠な「排水対策(水みちづくり)」の基本について学んでいきます。
1. 元水田の宿命――大雨がもたらす「大洪水」の現実
▶▲ この部分を動画で見る(0:15 から再生)
今回開拓を進めている圃場は、背後に山を背負った傾斜地にある元水田です。連日の雨が続くと、山から大量の水が湧き出し、圃場全体へと流れ込んできます。
水田としては最高の環境ですが、畑として野菜を育てるには極めて過酷な条件となります。
現地では、乾燥した土壌を好むはずのサツマイモやジャガイモの畝の周りに水が溜まり、池のような状態になっていました。ぬかるみがひどく、人間が足を取られるだけでなく、小型ユンボ(重機)ですらぬかるみにはまって身動きが取れなくなるほどの過湿状態です。
一方で、水が豊かで綺麗な証拠として、圃場にはイモリやカメなどの生き物たちが姿を見せていました。自然の豊かさを感じつつも、作物を健全に育てるためには、この水をいかにスムーズに逃がすかが最重要課題となります。
2. 観察から始める傾斜地(段々畑)の排水ルート設計
▶▲ この部分を動画で見る(4:15 から再生)
この圃場は段々畑の形状になっており、上段(1段目)から中段(2段目)、下段(3段目)へと順に水が流れ落ちていきます。今橋さんは、雨が降ったタイミングを活かし、水がどこから入ってどこへ溜まり、どこへ抜けていくのかを丹念に観察しています。
- 1段目(最上段): 山からの湧き水が直接流れ込み、もっとも水が溜まりやすい場所。
- 2段目: 1段目から落ちてきた水を受けるため、あらかじめ掘っておいた排水溝へ誘導し、下段へ落とす。
- 3段目: 各段から集まった水を最終的な排水路や暗渠(自然の穴や既存のパイプ)へ逃がす。
すでに仲間たちと手掘りや重機で掘り進めていた溝には、勢いよく水が流れ込んでおり、しっかりと機能(ワーク)していることが確認できました。雨の日に現場へ足を運び、「水の通り道」を自分の目で確認することの大切さがよく分かります。
3. 先尖り鍬一本でできる、応急的な「水みち」づくり
▶▲ この部分を動画で見る(14:00 から再生)
特にぬかるみがひどかった1段目のサツマイモエリアを救うため、今橋さんは先が尖ったタイプの鍬を使い、手作業で排水用の溝を掘り進めました。
溝掘りのポイントと気づき
- 深く掘りすぎず、まずは浅くても「水の逃げ道」を作る:最初から完璧な深い溝を掘ろうとすると膨大な労力がかかります。しかし、たとえ浅い溝であっても、勾配を意識して水をつなげてあげるだけで、驚くほどの勢いで水が抜け始めます。
- 粘土質・硬い土には刃先の尖った道具が有効:元水田の重い泥や締まった土には、接地面積が小さく土に食い込みやすい形状の鍬が効果を発揮します。
- 掘った先から水があふれ出す「水圧の解放」:詰まっていた土を削り、溝がつながった瞬間、滞留していた水が一気に流れ出していきます。土の中に閉じ込められていた過剰な水分を抜いてあげる作業は、土に呼吸をさせる行為そのものです。
数日後の大雨の後にも現場を確認したところ、掘った溝に沿って水が着実に下流へと運ばれており、応急処置としての溝掘りが確かな効果を上げていることが実証されました。
4. 自然農法・自然栽培における土壌改良の第一歩
自然農法や自然栽培では「肥料や農薬を使わないこと」に意識が向きがちですが、その大前提となるのは「作物の根が呼吸できる物理的な環境(水はけ・通気性)を整えること」です。
水が停滞して嫌気状態(酸素がない状態)が続くと、根腐れを起こし、野菜は健全に育ちません。今回の開拓の様子からは、以下の重要な学びが得られます。
- 自然の恵みを受け止めつつ、滞らせない:山からの水は自然の豊かな恵みですが、一箇所に留まれば作物を腐らせる原因になります。自然の流れに逆らわず、スムーズに次の場所へ受け流すルートを人間が手助けしてあげること。
- 「雨の日の観察」こそが最大の教科書:晴れた日には見えない土の中の水の動きや地形の癖は、大雨の日にすべて浮き彫りになります。
- 少しずつの改善を重ねていく:一気に完璧な畑にすることは難しくても、溝を一本掘るだけで土壌環境は劇的に変わり始めます。
耕作放棄地や元水田の再生にはドラマがあり、試行錯誤の連続です。自然を観察し、少しずつ手を入れて畑へと育てていくプロセスは、自然農法を探求する私たちにとって大きな勇気と実践的なヒントを与えてくれます。
出典・元動画:
自然栽培20年の今橋さんのYouTubeチャンネルより
※本記事はAIによる要約と文字起こしデータに基づき、独自の視点で整理したものです。
※今橋さんの素晴らしい取り組みを応援したく、学びを共有させていただきます。








コメント