自然農法において、土や植物と同じくらい重要となるのが農具の存在です。特に鍬(くわ)は、畑の開墾や畝立て、日々の手入れに欠かせない基本の道具といえます。一方で、鍬仕事は腰や腕に負担がかかる重労働だと思われがちです。
今回は、自然栽培を長年実践する今橋さんの動画から内容を整理しました。福島県会津若松市で100年以上続く「姫鍬」の作り手、筒製作所のマリナさんが登場します。作業の負担を減らす鍬の秘密や、道具を通じた身体の使い方についてまとめました。
1. 姫鍬(ひめくわ)誕生の背景にある「優しさ」
姫鍬を製造する筒製作所は、大正9年(1920年頃)に福島県会津若松市で創業しました。当時は地域に約130軒あった鍛冶屋も、現在では筒製作所だけが技術を守り続けています。
姫鍬誕生のきっかけは、第二次世界大戦後の食糧難の時代でした。復員した先代は、女性や子どもが重い鍬を振るう姿を目にします。「軽くて使いやすく、身体の負担にならない鍬を作りたい」と考え、研究を重ねて姫鍬を開発しました。作業を楽にする技術の根底には、使う人の身体をいたわる想いが込められています。
2. なぜ作業が楽になるのか?
今橋さんは2005年にイギリスへ渡る際、姫鍬を1本持参しました。現地で使ったところ、従来の半分の力で作業ができると実感したといいます。以来、19年以上にわたり現役で使い続けています。作業が楽になる背景には、日本の道具文化と職人技がありました。
「押す」西洋と、「引く」日本の道具文化
海外の農具には、体重をかけて「押す」タイプのものが多く見られます。これに対し、日本の刃物や農具は「引いて切る」構造が主流です。刺身包丁のように手前に引くことで、素材を崩さずに切ることができます。
日本の鍬も腕力で押し込まず、引く力で繊細に土を動かす構造です。無理な力を使わないため、身体への負担が大幅に軽減されます。
「鍬は土を切る刃物である」という信念
姫鍬の真髄は、「鍬は土を切る刃物である」という創業以来の信念にあります。硬い鋼(はがね)と柔らかい軟鉄を鍛接して作られているのが特徴です。
土を耕すたびに土との摩擦が生じ、自然と刃先が研ぎ澄まされていきます。そのため、草の根や固い土に対しても吸い込まれるような切れ味が長く続きます。
3. 全国の土質と身体に合わせる「1度」へのこだわり
筒製作所で作られている鍬の種類は、100種類以上にも及びます。
日本は地域によって土質が全く異なります。粘土質や黒ぼく土、小石の多い土など、土壌ごとに適した形状や刃の角度が存在します。筒製作所では、刃と柄の角度を64度や65度など「1度刻み」で作り分けています。
また、使う人の身長や筋力、振る角度によっても最適な道具は変わります。筒製作所では、土質や作業内容、体格を聞き取り、一人ひとりに合った鍬を提案しているそうです。
道具に無理に身体を合わせるのではなく、身体と土地に合った道具を選びます。これが怪我を防ぎ、無理のない作業を長く続けていくための鍵となります。
4. 食と命を支える「農具」の尊さ
今回ゲストとして話されたマリナさんは、もともと病院に勤務する管理栄養士でした。健康を願うなかで「食の根本とは何か」を突き詰め、道具作りの大切さに至ります。命を支える農業や道具の重要性に立ち返り、家業を継ぐ道を選びました。
自然農法や自然栽培では、土の力を活かしながら手作業で作物を育てます。その手助けとなる農具は、まさに身体の延長といえる存在です。切れ味の良い道具を使うことは、作業効率の向上だけでなく、無理のない美しい所作へとつながります。
まとめ
姫鍬の特徴から、道具選びと身体の使い方における要点を整理します。
- 日本の「引いて使う」身体の使い方を意識する
- 「土を切る」切れ味の良い道具を選ぶ
- 自分の体格や地域の土質に合った角度・重さの道具を見つける
無理な力を使わず畑に立つためにも、まずは足元の道具から見つめ直してみてください!動画内では、今後イギリス式の除草具をベースにした新道具の開発も進められているとのことです。
出典・元動画:
自然栽培20年の今橋さんのYouTubeチャンネルより
※本記事はAIによる要約と文字起こしデータに基づき、内容を整理したものです。
※今橋さんの素晴らしい取り組みを応援したく、学びを共有させていただきます。











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